HiraTomo

高校空手部同期主将が本を出したんで読んでみた。題して「幸福途上国ニッポン」。

今回は今までの「○○読みました」というエントリーとは少し状況が違います。
なにせ、著者は高校時代の空手部同期、しかも主将だった猛者。
Photo

「幸福途上国ニッポン」—新しい国に生まれかわるための提言—
http://www.amazon.co.jp/幸福途上国ニッポン-新しい国に生まれかわるための提言-目崎-雅昭/dp/4757219415/ref=sr…

同期主将が本を出したと知ったら、ちゃんと読まないわけには行きません。
僕の日常で最も神聖な時間「入浴タイム」を割いて、
読みました。2回読みました。
面白かった。かなり刺激を受けました。

まあ、あのとんがっていたころの著者を知っているからこそ、
そして、そのあとの変貌ぶりを知っているからこそ面白いと思う部分が多分にあるのは事実です。 だから、これは一般的な書評ではありません。僕の個人的雑感です。

ちなみに僕が知っている著者は
————————————————————————————————
高校時代。空手部。主将。強かった。
若気の至り的やんちゃエピソード多数(僕の口からは詳しく言えません)
大学に入ってなぜか勉強に開眼。
朝、超早起きしてラジオの英語講座聞いたり、本読みまくったり、おおよそ高校空手部時代からは想像できないような変貌を遂げる。
そして卒業。その勢いでメリルリンチに入社。デリバティブトレーダーとして稼ぎまくる。 と、ふと人生に疑問を持つ。

さっさと退職。(この辺の行動力がさすが)
行ってないところないんじゃないの?というほど世界中を旅をしたり、インドで瞑想にふけったり、再び学校に行ってみたり。
10年ほどして帰国
執筆 > 出版(←イマココ)
————————————————————————————————
という友人の中でも最もぶっ飛んでる部類に入る人間です。 で、この「幸福途上国」という挑発的なタイトルが付けられたこの本。
肝心の本の中身はと言うと、著者が退職後、文字通り世界のあらゆる場所に体当たりで飛び込んでいった中で、人々と正面から向き合い、
議論・討論し、考え抜いた記録です。

でも、(先日会った際、本人も言っていましたが、)
単なるありがちな放浪記になっていません。
むしろ意識的に放浪記にしなかったそうです。
というか放浪記的な要素はほとんどありません。(そっちの路線でも十分面白かったはずなのは確かなので、それは次の著作に期待することとします。) 感想文として個人的体験ベースで語るのではなく、
そこで感じたことを起点として、十分に思考を熟成させた結果、
著者の論点は豊富なリサーチをベースに、整然とロジカルに展開します。
ある意味、きわめてまじめで、純粋に知的冒険としてとっても面白いけれど、一方で学術論文的カタさがあります。
僕のような理系人間には相性の良い内容ですが、少しカタすぎると感じる人もいるかもしれません。

で、僕は普段子供向けの展示を企画しているので、いつもの調子で小学校5年生くらいを対象に内容を整理してみると次の様になります。 ———————————————————————————
■日本人ってぜんぜん幸福じゃないらしいよ。
 えー!ちょっとまって。世界的に見てもマジで幸福度低い方なわけ?
 まず、世界の色々な幸福度調査とその背景を調べてみようよ。
 あれ、ほんとに幸福度低いね、ニッポンって。

■じゃあ、なんでそうなんだろ?
 ニッポンのどこがいけないの?
 ニッポンの何が幸福を妨げてるわけ?
 日本(人)らしさ、ってやつに関係ありそうなんだね。
 
■でもさ、その前にそもそも幸福って何さ?いったい。
 ちょっと幸福ってやつをちゃんと分析してみようよ。
 そんで、幸福の必要条件を定義しちゃってみようよ! ■ということで、結局、ニッポンはどうしたら幸福になれるわけ?
 「日本人らしさ」にはもちろんいいところもあるよ、
 でも、少なくとも一部は、幸福のために有害だよね。
 そこんとこ改善していかないと!

■でさ、「あなた」はどうしたら幸福になれるわけなの?
 >「社会個人主義宣言」
——————————————————————————— ネタバレになるといけないので、なるべく結論めいたことを省くと、こんな感じです。
ただ、膨大な資料をここまでちゃんとリサーチし、ロジカルな展開にしたのであれば、本としての立ち位置が若干中途半端な気もしました。

たとえば、本文中にはたくさんの統計・調査結果や、非常に興味深い心理学研究の結果などが随所に紹介されているのですが、
データの裏を取れる様に、オリジナルにあたれる様に、本文中にreferenceの記述が欲しかった。(出典を確認したくなるのは理系の癖なので) また同時に、カタさの中にも、もう少し本人がこのような着眼点に至った個人の体験やエピソードを増やしてほしかった。あくまでも一般論ではなく生身の人間の実体験として展開しているんだと言う姿勢がもっと強く出ても良かったかもしれないと思いました。言い換えれば「アツい」心意気がもう少し見えてきても良かったかも。

でも、出版にあたりかなりのページ数を削ったとも聞いているので、そのへんはオトナの事情もあったのでしょう。 僕的には「個性化の重要性について」が、自分の日常と照らし合わせ、父親として、経営者として、とても考えさせられました。
また、個性化と多様化を明確に分けて考えているところは新鮮でした。

あと一つ、次に著者に会った際、僕が読み取り切れていない部分について聞いてみたいことがあります。
本文120ページにたった一カ所、下線(縦書きだから右線っていうのでしょうか)で本文が強調されている所があります。この本の中では、一部の章タイトルや箇条書きのまとめに太字が使われている以外、下線で強調されている本文はほかにありません。全260ページ中、ここだけに下線を引いた明確な意図があるのであればそこを知りたい。ほかにも強調してしかるべき部分はある様に思うのですが。そこだけに線を引いた意図を聞いてみたいと思っています。
さてさて、一度読み終わって、もう一回最初から読んで、最後にiTunesで久しぶりにブルーハーツの曲をかけました。
「ロクデナシⅡ(ギター弾きに部屋は無し)」

どっかのエライ人がテレビでしゃっべってる
「今の若い人には個性がなさすぎる」
僕らはそれを見て一同大笑い
個性があればあるで押さえつけるくせに
ということで、個性的という世界である意味突き抜けている著者は、次の本と言うより、次の動きが楽しみな男です。

ちなみに次作といえば、できればこんな切り口も考えてほしい。

「世界一やさしい問題解決の授業」渡辺健介
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http://www.amazon.co.jp/世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく-渡辺-健介/dp/4478000492

ハーバード大学とマッキンゼーでもまれた著者が、子供向けに問題解決のためのロジカルシンキングについて、わかりやすく語った名著です。
僕は読んだ本を片っ端からBookOffに持っていくんですが、棚一つ分だけ保存書籍があって、これも大切に保管してある1冊となっています。

幸福のための考え方や幸福になるための姿勢も、一番必要としているのはこれから「オトナ」になる子どもたちです。
今の子どもたちが、つまらないオトナになってしまう前に、
子どもたちに向かって、本当の幸せと、幸せになるための心構えについて発信してほしい。
難しく複雑なことを、わかりやすく簡単に伝えうるのは、本当に大変。
最もスキルと情熱が必要とされる仕事です。
でもやらなきゃ。
たぶんやってくれると思っています。

Posted via email from TokyoInstallation | Comment »


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